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2024/10/06 05:23 |
それはまだ恋とも呼べぬ(レオセリ/QMA)

【この感情をなんと呼ぼう】の続き的な。
OVA後の2人。

セリオス視点。
レオンが好きなのに、まだ無自覚。

1人でぐるぐるしてるセリオスが可愛いと思うんだ!

僕はどうしてしまったと言うんだろう。
こんな感情、僕は知らない。
こんな、苦しい感情は…

 

それはまだとも呼べぬ

 

「だから、そこはそうじゃないと何度も言っているだろう」
セリオスは、今日何度目になるか分からない台詞をため息と共に吐き出した。
「う…悪ぃ」
間違いを指摘され、レオンも―こちらも今日何度か分からないが―気まずそうに謝った。
「全く…これではアメリア先生が泣いていた理由にも、納得せざるをえないな」
セリオスの声に、レオンはまた小さく「悪い」と答えた。

クラス対抗魔法合戦が終わってからしばらく。
再び定期試験が行われた。
その結果が先日発表されたのだが……
またしても、担任であるアメリアを泣かせた生徒が2人。
言うまでもなく、ルキアとレオンだった。
あまりにも壊滅的な点数を取った2人の勉強を見てやるようにと、
アメリアが頼ったのがセリオスとシャロンだった。
当たり前のように、ルキアをシャロンが、レオンをセリオスが教えることになった。
なったのはいいが…レオンの現在のレベルに、セリオスは思わず呆れてしまった。


―――前回のことで多少は覚悟していたが…ここまでとはな―――


「お前、授業をまともに受けていたのか?」
刺のある言葉を投げてやると、レオンはむっとした。
「受けてたって!」
「だったら、どうしてこれくらいが出来ないんだ…」
レオンのしている課題は、初級魔術士のレベルのものだ。
今、普通ならば既に魔導士レベルだというのに。
「それは……」
口ごもるレオンに再びため息をついてから、セリオスはもう一度ノートに視線を戻した。
「まぁ、文句を言ったところでどうしようもないが……
 僕がわざわざ教えてやっているんだ。
 次のテストでは最低でも6割はとってもらうぞ」
「げっ、6割!?」
セリオスが提示した数字に、レオンはあからさまに嫌な顔をした。
「何だその顔は」
「だって、6割ってよ…」
「そんなに高い数字でもないだろう?平均だ」
「う………」
確かに6割と言えば、平均だ。
クラスメイト達は、最低でも6割はとっている。
だが、レオンの平均成績はその半分…つまり30点なのだ。
レオンにとって、6割はほど遠い点数なのだが
「うー……分かった、6割だな」
「…そうだ」

「まぁ、やれるだけやってみるぜ!」
先程までの態度と打って変わり、レオンは真剣な顔付きでノートに向かった。

「やる気が出たのか?」
――もう少し何か言ってくるかと思っていたのだが―
セリオスが問いかけると、レオンは急に顔をあげた。
「だってさ、お前がわざわざ放課後こうやって残ってくれてんだし。
俺がやる気なきゃ、意味ないじゃん……だろっ?」

「っ…………」

――また、だ――

「ん?セリオス?」
レオンの笑顔を見ると、何故か鼓動が跳ね上がる。
いつの間にか視線で追っていたことを自覚してから、どこかおかしい。
前もそうだった。
一瞬目があって笑いかけられただけで顔が熱くなった。

だから。
だから今日は、気にしないように努めていたのに。
こんな風に、ふとした瞬間にそんな風に笑われたら。

「おい、セリオス?大丈夫か?」
「あ、あぁ…何だ?」
「何だって……それは俺の台詞だろ?今、なんかボーっとしてたじゃねぇか。疲れてんのか?」
一瞬だったが、どうやらセリオスは惚けてしまっていたようだった。
レオンは自分のせいで疲れていると思ったらしく、心配そうな目をしている。

「いや、疲れているわけじゃない。だいじょ………っ!?」

―大丈夫だ―

と言い終わる前に、レオンの手のひらがセリオスの額に触れた。

「な、にしてっ………」
「んー、別に熱はねーんだよな?」
「熱…?」
「うん、なんかお前さっきから顔赤いしよ。
 熱でもあるんじゃねーのかなーって思ったんだけど」

――誰のせいだと思っているんだ――

「熱は、ない……だから、手を離せ」
「んー…」
セリオスの言葉が聞こえているのかいないのか、
額に手をあてたまま、レオンはセリオスをまじまじと眺める。
「おい…レオン?僕は大丈夫だから、手を…」
「セリオスってさー……なんか綺麗だよなぁ」
「なっ……!?」
思わず大声をあげそうになったが、どうにか押さえ込んだ。
声は押さえ込んだものの、顔が熱くなるのは止められない。
「何を、言い出すんだお前は…っ」
「だってよー、なんか同じ男なのに色白いし…髪も綺麗だよな。あと、瞳の色も―――」

そこまで言って、レオンはセリオスの瞳をじっと見つめた。
「何だ…?」
「いや、そう言えばルキアもセリオスと同じ、緑の瞳だったなーって思って」


――ルキアと、同じ――


レオンが言い終わった瞬間、セリオスはレオンを突き飛ばした。
「うわっ!?」
壁に背中をぶつけて、レオンは微かに顔を顰める。
「ってぇ……何すんだよ、急に……」

「あ………」

突き飛ばした本人であるセリオスも、混乱していた。
ルキアの名前が、レオンの口から出ただけだと言うのに。

――この感情は、何だ?――

「おい、セリオス…?」
いつの間にか、また顔を覗き込まれるカタチになっていて、思わず後ずさった。
「っ…すまない――!」


「お、おい!?セリオス!?」


レオンの顔を見ているのが何故だか急に苦しくなって、セリオスは教室を飛び出した。

後ろからレオンが呼んでいるのが聞こえたが、振り返ることはできなかった。
 

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2008/10/30 00:26 | Comments(0) | QMA(レオン×セリオス)

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