前回がＢＡＤ ＥＮＤ後だったので、
今回は打って変わってラブラブで甘々で幸せいっぱいな感じで。
ジュリオ視点って難しい。
けど、ジュリオ視点で幸せいっぱいなのを書きたかったので。
【音楽用語のお題】より『03.dolce』意味は「甘く柔らかに」
ジュリオとジャンが幸せなら、私も幸せです。
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03.dolce
「・・・・・あ・・・」
朝、目が覚めるとジャンさんの寝顔が目に入ってくる。
窓から少しだけ入ってくる光が、その金の髪に反射してキラキラ光る。
「・・・ジャン・・さん・・・」
俺は、その髪にゆっくりと触れる。
たったそれだけで、俺の心は満たされていく。
ほんの少し前の俺では、考えられなかった。
こんな風に、誰かの隣にいるだけで・・・嬉しいと思うなんて。
いや、違う・・・こんな風に、ジャンさんの隣にいられるなんて。
俺は・・ジャンさんに、ひどいことをしてしまった。
色々、迷惑も・・・かけてしまった。
けど、そんな俺に・・ジャンさんは「側にいろ」と言ってくれた。
俺も、ジャンさんと・・いきたいと思った。
そして今、ジャンさんは俺の隣にいる。
そう思うと、また心がじわりと温かくなる。
これは・・・これが・・・・もしかしたら
「う・・・ん・・・」
「あ・・・ジャン、さん・・？」
ジャンさんが小さく身じろぎをして、目を開けた。
「ジュリオ・・・」
「すみ、ません・・・ジャンさん・・・起こして、しまいましたか・・・・？」
俺が謝ると、ジャンさんは柔らかく笑う。
「ジュリオ、お前な・・・ソレ、また戻ってんぞ」
「え・・・」
「“ジャンさん”って」
「あ・・・・すみません・・ジャン」
何度言われても、なかなか慣れることができない。
俺にとって、ジャンさん・・・ジャンは、ずっと・・・憧れで。
好きだけど、届かないと思ってた人だから。
「ま、仕方ないか。最近会ってなかったしな」
「あの・・俺・・・・ジャンに、伝えたいことが・・・あります」
「ん？何だよ？」
「あ、の・・・俺、ジャンに会えて、良かったって・・・思って」
俺がそう言うと、ジャンは少しだけ驚いた顔をして、すぐに横を向く。
「な、何だよ改まってよ・・・」
「初めて会った時から・・・好き、だったんですけど・・・
刑務所で、また、会えて・・・・俺、本当に嬉しかった、です。
神様が、本当にいるなら・・・感謝したいと、思いました」
こんな奇跡を与えてくれて。
「この世界で・・・他の誰でもない、ジャンと、会えて・・・
ジャンを、好きになれて・・・ジャン、が・・・俺の側に居てくれて」
今の気持ちを、どうにかジャンに伝えたいと思った。
だけど、上手く言葉が出てこない。
「ありがとう、ございます・・・ジャン・・・」
「え？急に何だよ」
ジャンがよくわからないと言う顔で、首を傾げる。
「えと・・・俺、上手く言えないんです、けど・・・・
俺が俺でいれるのは、ジャンが・・いてくれるからです。
ジャンがいるだけで・・・心があったかく、なります」
「ジュリオ・・・・」
ゆっくりとジャンの頬に触れる。
「俺は・・・これからも、ずっと・・ジャンの側にいて、いいん・・ですよね？」
「当たり前だろ？」
「あ・・・・」
ジャンはそう言うと、俺に軽くキスをした。
「オレの隣は・・お前しか考えられねーよ、ジュリオ」
また、だ。
心の中が、ゆっくりと温かくなる。満たされる。
この気持ち・・・これが・・・・
「これが・・・・“幸せ”・・・なんですか？ジャン・・・」
俺が聞くと、ジャンは微笑んだ。
「お前がそう思うんなら、そうなんだろうよ」
「ジャン、は・・・？」
「オレ？」
「ジャンは、俺といて・・・その・・・」
「・・・ジュリオ」
「はい・・・ん・・」
返事をすると、またジャンからキスをされた。
今度は、さっきよりも少し長めのキス。
「Ti amo」
唇を離した時、ジャンは俺の耳元でそう言った。
「ジャン・・・」
「オレが、お前といて・・幸せじゃないわけないだろ？」
ジャンの微笑んだ顔は、とても綺麗だ。
「ジャン・・・」
抱きしめると、何だか色々な気持ちが溢れてくる。
「ジャン・・・俺も・・幸せです・・愛して、ます、ジャン」
そう言ったけど、言葉だけじゃ足りなくって。
今度は俺からジャンに、キスをした。