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2024/07/07 22:35 |
atempause(LD/ジュリオ×ジャン)

何気ない日常が幸せなんだと思う。
ほのぼのな、2人。

【音楽用語のお題】より『05. atempause』意味は「息つく間・短い休止」

2人が陽だまりの中で寝ていたら、可愛いと思う。

++++++++++





05. atempause






あー・・・なんかイマイチ、頭がはっきりしない。

「それじゃあ、この方向で問題はないな?」
ベルナルドの声が、ぼんやりと聞こえる。
やっぱアレか?寝不足?いや、昨日はかなり寝た気がする。

「ジャンも、これでいいか?」
「・・・・・」

んー、やっぱ何か調子でねぇな。

「ジャン?」
「おい!聞いてんのかよ!」
「え・・・・」
イヴァンの怒鳴り声で、俺はやっと自分が皆に注目されているのに気が付く。
「大丈夫、ですか?ジャン・・・」
隣に座っていたジュリオも、心配そうな顔で俺を見ていた。
「あ、えーと・・・何だっけ?」
「テメッ、マジで聞いてなかったのかよ!」
「ジャン、どこか具合でも悪いのか?」
イヴァンが本格的に文句を言い始める前に、ベルナルドがそう言った。
その言葉を聞いて、ルキーノが俺の顔をじっと見る。
「そう言えば・・そうだな。ジャン、お前少し顔色が悪いぞ」
「あれ?そんな風に見える?俺は全然いつも通りだぜ?」
ひらひらと手を振ってみるが、ベルナルドは首を振った。
「いや、確かに調子が良くなさそうだ。
 ここ最近、お前にはずっと動いてもらっていたからな・・
 そろそろ疲れが出ているんだろう」
「んなことねーよ。俺なんかより、お前やルキーノの方がよっぽど働いてんだろ」
「おいおい、オレのコト忘れてんじゃねーのか?」
「あ、悪い忘れてた」
サラっとそう言い、シットだのファックだの喚くイヴァンを軽く無視する。

「いや、俺達の仕事よりも、お前の方が大変だろう。
 俺やルキーノと違って、ジュリオの仕事はかなりハードだ」
「あー・・まぁ、でも俺ほとんど何もしてねーし」


ボスが戻ってきてからも、俺はまだジュリオと組んでいた。
俺は――まだまだボスになるような器じゃない。
学ぶことが、たくさんある。

それに、今は・・ジュリオと組んで仕事をするのが楽しかった。

ま、殺しなんだけどサ。

これもまた以前と変わらず、俺はほとんど何もしてない。
ジュリオが反り血を浴びることもなく、一瞬できめていく。

ただ、以前と違うのは。


ジュリオが――血や死体で、異常に興奮することが無くなったコトだ。


俺が傍にいれば、ジュリオは決して壊れない。


ジュリオには俺が必要で――


――俺にはジュリオが必要だ


だから、今日まで毎日ジュリオと一緒に仕事してた。
流石にそろそろ疲れたと言えば・・・そうなんだけどさ。


「まぁ大丈夫だって。俺、タフだし」
「しかし・・」
「ジャン」
わお、意外。何か言おうとしたベルナルドを遮ったのは、ジュリオの静かな声。
声と同じように、静かな瞳が真っすぐに俺を見る。
「あまり・・無理、しない方が・・いいです」
「別に、無理なんかしてねーよ。むしろ、俺よりお前のが心配なくらいだぜ?」
「俺、は・・ジャンと、一緒だから・・・平気です」

いや、それなんか違うだろ。

「確かに、ジュリオも最近休んでないな」
「いえ、俺は・・・」
ジュリオが何か言おうとした時に、
「それなら・・・」とルキーノが声を出した。
俺とジュリオをちらっと見てから、ベルナルドに向き直る。

「いっそ、今日は2人でゆっくりさせたらいいんじゃないか?」














―――と、言うわけで。
俺は今、ジュリオと貴重な休日を過ごすことになったワケだが。

「急に休めって言われてもなぁ・・・ジュリオ、お前何かしたいこととかあるか?」
俺は部屋のベッドに座ったまま、ジュリオに話しかけた。
「え・・・俺は、特には・・。ジャンと、一緒にいられれば、それで・・」

うわ。なんとなく予想はついていた答えだけどさ。
そんな風に嬉しそうに笑いながら素直に言われると、やっぱ照れるっつーの。

「ジャンは、どこか出かけたり・・したい、ですか?」
「俺?俺も別にねぇかな・・・ま、今日くらいは部屋でだらだらすんのもいいかもな」
せっかくベルナルドが休みくれたんだし(イヴァンは、色々と文句言ってたけど)
ゆっくり身体を休めるのも、悪くはないな。
けど、なんかジュリオといるのに、ただ寝るってのもな・・・

・・・そうだ。

「おいジュリオ」
「はい、ジャン」
「ちょっとこっち座れ」
俺は、自分の隣をぽんぽんと叩く。
「はい」
ジュリオは、素直に俺の横に座った。

「よっと」
「え、あ・・・ジャン・・?」
俺がその膝の上に頭を乗せると、ジュリオが慌てたような声を出した。
「この体勢だと、お前の顔見ながらゆっくりできるだろ?
 ・・・って、お前の足が疲れちまうか」
「あ、いえ・・・!俺、も・・このままで、いいです。
 ジャンの顔・・・ゆっくり、見れます、から」
そう言いながら、ジュリオの手が俺の髪に触れる。
なんだか、くすぐったい。
「あ、すみ、ません」
俺が少し身じろぎしたからか、ジュリオがぱっと手を離す。
「あぁ、別に嫌なワケじゃねーって。ちょっとくすぐったかっただけだから」
「じゃあ・・触ってても、いいですか?」
「いいぜ」
「はい、じゃあ・・・」
俺が許してやると、また嬉しそうに俺の髪を撫でる。
こんなことで喜ぶなんて。ほんと、可愛いヤツだよ。

「ん・・・・」

っつーか、やべーなー・・・
ジュリオが俺の髪を撫でるのが、妙に落ち着く。
目を閉じると、寝ちまいそうだ。

「あー・・・なんか、たまにはこーゆーのもいいな」
「はい」
俺を見下ろすジュリオの顔は、とても穏やかだ。
ジュリオの色の薄い髪に、窓から入ってきた光が反射する。
こうして見ると、キラキラしてマジで王子様みてぇ・・・
「ジャン・・・?」
「あぁ、悪い。ジュリオってやっぱ綺麗だよなーって思ってサ」
俺が笑いながらそう言うと、ジュリオは少し顔を赤くした。
「そんなこと、ないです。ジャンの方が、ずっと・・綺麗です」
言いながら、また俺の髪を撫でる。

・・・駄目だ、マジ眠くなってきた。

「悪いジュリオ・・・ちょっと、マジで・・・ねみぃ・・・」
「やっぱり、疲れて・・いるんだと、思います。ゆっくり寝てください、ジャン」
「でも、このままじゃお前が休めないだろ・・?」
俺が起き上がろうとするのを、ジュリオの手が軽く抑える。
「いいんです・・俺、このままが・・・」
「そっか・・・?じゃあ、悪いけどちょっと寝かせてもらうわ・・・・
 お前も・・もし休みたくなったら、起こしてくれ。すぐにどくからさ」
「はい、ジャン・・・あの、おやすみ、なさい」
ジュリオの唇が、俺の唇に軽く触れる。
「ん・・・」
唇が離れるのと同時に、俺はゆっくりと瞼を閉じた。




この時見た夢は―――





今まで見た中で、1番幸せな夢だったような気がした。

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2009/07/26 23:23 | Comments(0) | ラッキードッグ1(ジュリオ中心)

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