Over Heating Love

けど……


「あ、おい！セリオス！？」

セリオスは、オレを見るなりまた走りだした。

「くそっ…何で逃げんだよ……！！」

しかも、やっぱり泣きそうな顔してた。

ホントに…セリオスは、オレのこと…？

そんなこと考えてたら、目の前に雷の魔法が降ってきた。


「うおっ！？」


間一髪のところで、直撃はしなかったけど。


「レオン…廊下は走るなと、いつも言っているだろう？」
「先生！！悪いけど、今はそれどころじゃねーんだ！！」


早く、セリオスに追いつかねぇと…

アイツに、あんな顔させておくわけにはいかない。

「まぁ、そうだろうけどな」
「へ…？うわっ！？」
フランシス先生のため息と同時に、また雷の魔法が降ってくる。

「ちょっ、先生！オレ急いでんだって！」
「少しは落ち着け。セリオスを泣かしたのは、君なのかい？」
「な………泣いてたのか…？」
「その反応なら、やっぱり君が泣かせたんだね」
「ちがう！………こともねぇけど………」
ルキアは自分が悪いって言ってたけど、これってやっぱりオレのせい……なのか？

「ふぅ…君は、セリオスを追いかけてどうするつもりだったんだい？」
「え…そりゃあ…………」

待てよ？オレ、本当にどうするつもりだったんだ？
だいたい、何で追いかけてるんだ？

セリオスの気持ちが知りたいから？
セリオスが泣いているのが嫌だから？

なんか、違う………？

「………中途半端な気持ちなら、追わないであげた方がいい」
「…………オレは………………」

そうだ、オレの気持ちはどうなんだ…？
オレは、セリオスのことをどう想ってるんだ？

セリオスを泣かせたくない

泣いているんだったら、泣き止むように抱きしめたい———

「あ……………」

オレ……、オレは………！！！

「ごめん先生！また廊下走るけど、今日だけは見逃してくれよ！
　オレ、やっぱりアイツのこと追いかけねーといけねーんだよ！
　それで、アイツに伝えなきゃいけないことがあるんだ！」
オレがそう言うと、フランシス先生は「仕方がないな」と笑って道をあけてくれた。
「サンキュー先生！」
それだけ言うと、オレは全力で走った。









「…………！見つけた！！」

散々探しまわって、やっと見つけた。
窓の外……中庭だ。この時間だから、他に人はいない。
オレは、急いで階段を駆け下りた。その時間がもどかしい。
こんなことなら、風の魔法をちゃんと勉強しておくんだった。
そうしたら、窓から飛び降りることも出来たってのに……！










先生に言われて、やっと気付いた。

オレがセリオスを追いかけてるのは

オレが、セリオスのことが好きだからだ……って



だから、セリオスがルキアとのことを誤解してるなら、誤解を解きたい。

そのせいで泣いてるんだったら、オレの気持ちを伝えて抱きしめたい。

そして……オレも、セリオスの気持ちが聞きたい。




だから———オレから逃げるなよ！



「………………！セリオス！！」



オレの姿を見て、また逃げようとしたセリオスの腕を掴んだ。
振り向いたセリオスの瞳から、涙がこぼれ落ちる。

「っ………！放せっ…………………！？」

次の瞬間には




オレは、セリオスを抱きしめていた。