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2024/07/07 23:10 |
恋と呼ぶには曖昧な(レオセリ/QMA)
【それはまだ恋とも呼べぬ】の続き。
レオン視点。

レオンがとんでもなく鈍感。
気持ちを自覚したわけではないけれど…
セリオスが気になってしかたないレオン。



++++++




 

 

―――っ……すまない―――


何で


何でアイツは、あの時、あんな顔をしたんだろう


俺にはまだ、分からない




と呼ぶには曖昧な 



「あー……わっかんねーなぁ」

あの日以来、セリオスの様子がおかしい。
あからさまに避けられたりしているわけではない。
話しかければ普通に返してくるし、放課後の勉強も今まで通りみてくれる。
今日も、セリオスの用事が終わってから教えてくれることになっているので、
教室で待っているのだが………

気になることが、ひとつ。

セリオスが、レオンの目を見なくなった。
僅かにだが、視線を逸らしながら話すのだ。

そして、そうなったのはあの日――セリオスが急にレオンを突き飛ばして教室から出ていった日――が原因なのだろう。


「うーん……俺、何かしたか…?」


セリオスが疲れてるみたいだったから、熱があるんじゃないかと考えて、
額に手をあてて………

「……もしかして、綺麗って言われたのが嫌だったのか?」

綺麗って言われることが嫌だという男も、いるだろうし……
でも、嫌だったのだとすれば。
セリオスの性格から考えれば、その場で怒っているはずだ。
なのに、怒るでもなく……すまないと、謝った。

……どういうことなんだ

「何1人でぶつぶつ言ってるのよ?」
「うわっ!?」
後ろから唐突に聞こえた声に、レオンはばっと振り返ると、
教室の入り口にルキアとシャロンが立っていた。
「……と、なんだルキア…と、シャロンか」

あからさまにホッとしたように息をつくと、ルキアがぷぅと頬を膨らませた。
「何だって何よー。あんたが珍しく悩んでるみたいだから、声かけてあげたって言うのに」
「珍しくって何だよ、俺だって悩むことくらいあるって」
「ふぅん?」
「ふぅんって、お前なぁ…」
「で?綺麗って誰が?」
レオンの文句を遮ったルキアの質問に、ガタンと椅子を倒してレオンは思わず立ち上がった。

「おまっ…聞いてたのかよ!?」
「そりゃあ、声に出せば聞こえるわよー。ねぇ?シャロン」
「そうですわ。貴方の独り言は、声が大きすぎますのよ」
「う……」
「で?誰のことですの?」
シャロンに質問を繰り返されて、レオンは口ごもる。

「それは……」


―男が男を綺麗だって思ってたなんて、言えねぇよな…―


どう誤魔化そうかと考えているうちに、シャロンが口を開いた。
「ま、だいたいは分かりますけれど?」
「え……」
「セリオスのことでしょう?」

「な、何で分かるんだよっ!?」
言い当てられて動揺するレオンを見て、ルキアとシャロンは飽きれたように笑った。
「何でと言われましても…ねぇ?」
「あたしでもすぐ分ったわよ」
「う……マジかよ…」
きっぱりと言われ、レオンは頭を抱えた。

「マジ、ですわ。それよりも・・・セリオスと何かありましたの?悩んでいるみたいですけれど」
「いや、それがよく分かんねぇんだよなぁ」

「へ?どう言うこと?」
「えーと…」

――ルキアとシャロンなら、分かるか…?

――そう考えて、レオンはこの間の出来事を簡単に話した。
少し前、放課後勉強見てもらってる時にセリオス疲れてる様子だったこと。
顔赤かったから熱があるのではないかと思い、額に手を当てたこと。
セリオスが、急にレオンを突き飛ばして出て行ってしまったこと――


「で…?」
「で…って…それだけだけど」
「今の話では、分かりませんわね…。大体、どうして突き飛ばされたのか、原因は分かりませんの?」
シャロンに聞かれて、レオンはまたうーんと首を捻った。

そもそも、どうして突き飛ばされたのかをレオン自身分かっていないのだ。
怒らせたのなら分かるが、セリオスは怒っていたわけではない。
怒っていたなら、謝るなんてしなかっただろうから。

「わかんねーんだよな…あいつ、すまないって謝って出てったし」
「セリオスが謝ったの?」
「あぁ」
「ますます分かりませんわ…」
「うーん…レオン、あんた他に何か言ったりした?」
「他にって……」


少し考えたところで、ふと思い出した。
さっきまで考えていたこと――


「えぇと……綺麗だって言ったけど…」
「え……あんた、セリオス本人にそれ言ったの!?」
ルキアの反応に、やっぱりまずかったかと思う。
「いや、まずいって言うか…」
ルキアは気まずそうに視線を逸らした後、
「それはある意味逃げたくもなるわよねー」と呟いた。
「ん?どーいう意味だ?」
「あはは…ところでさ、どういうとこが綺麗だと思ったの?」
「え…肌の色とか、髪とか、瞳の色とか……あ」

そこまで言ったところで、レオンは思い出したようにルキアを見て
「あー、お前に似てるって言った」と付け足した。
「え?あたし?」
「ルキアもセリオスも、瞳の色って緑だろ?だから、一緒だよなーって思って」

レオンがそう言った途端に、シャロンとルキアは顔を見合わせた。
「あー…何これもしかしてあたしの所為?」
「違うんじゃないかしら?単に、レオンが無神経なだけですわ」
「おい?どういうことだよ?」
女子2人の会話の意味が理解できずに思わず口を挟むと、
2人に揃って大きなため息をつかれてしまった。

「あのねぇ…気になる人が、自分と他の人を比べるなんて普通嫌って思うでしょ?」

――気になる人?――

レオンの頭の上に疑問符が飛ぶ。
それを見て、ルキアがバンッと机を叩いた。
「もうっ、レオンの鈍感!前に中庭で言ったでしょ?セリオスがレオンのこと好きなんじゃないかって」
「へ?え……え?」
勢いに圧されて、レオンは仰け反る。
「だーかーらー!セリオスは、あたしと比べられたのが嫌だったのよ!…多分」
「え…じゃあ、セリオスってホントに俺のこと…?え…えぇっ!?」
2人の声が徐々に大きくなってくる。
ぎゃいぎゃいと言い合う声を聞きながら、シャロンが思わずため息をついたその時。

微かに聞こえたのは、こちらに向かう足音。


(足音…?あ…!レオンがここにいたということは…セリオスが来るということ!?)


「え、だから、つまりどーゆーことなんだよっ!?」
「だーかーらーっ!」
2人は気付く様子がない。
足音が、教室のすぐ傍まで迫ってくる。

「あ……!ちょっと待って!ルキアっ…!」
「好きなんだって言ってるじゃないっ!」


ガタンッ


シャロンが叫ぶのと、ルキアが叫ぶのと。
ドアが開かれたのは、ほぼ同時だった。


「っ………」
「あ……」


「「え………?」」



ドアの先に立っていたのは、やはりセリオスで…レオンとルキアを見て、呆然としていた。
一方、レオン達も固まったまま瞬きをするしかできない。

その沈黙を破ったのは、意外にもセリオスだった。


「…今日は約束でもしていたのか?」
いつもよりも、少しだが冷ややかな声。
こんな声は、初めて出会った頃にしか聞いたことがない。
「え、いや、違うけど…」
「………」
「セリオス…?」

「あ、あのねセリオス。あたし達が勝手に来ちゃったの。
 レオンはここであんたを待ってただけで…」
黙ったまま何も言わないセリオスに不穏な空気を感じ取って、
ルキアは慌てて2人の間に入り込む。
「別に…僕はコイツが誰と何をしていようがどうでもいい。
 補習の課題も、もうすぐノルマを達成する。
 1日くらい、遊んでいようが構わない」
それだけ言うと、くるりと背を向ける。

「ちょっ、セリオス!今日の課題はどーすんだよっ!?」
レオンが追いかけようとすると、セリオスは「来るな」という風な冷たい視線を向ける。
「今日は僕がいなくても大丈夫だろう?そこにいるシャロンに教えてもらえ」
「ちょっとセリオス!!」

シャロンやルキアが止めるのも聞かずに、セリオスは教室を出て行った。



(セリオス……?)



気まずい空気が流れる中、レオンだけが未だに状況を把握できていないようで、呆然としている。
「何なんだ…??今の」
「ごめん、今回はホントにあたしのせいかもっ…!!」
ルキアは手を合わせてレオンに頭を下げた。
「何だよ、どういうことなんだっ?」
「セリオス、多分誤解しちゃったわ!」
「誤解?」


「ルキアが、貴方に告白してると思い込んだ…ということですわ」


「え……」


シャロンの言葉で、レオンの中で何かが繋がる。


さっきセリオスが出ていく寸前の横顔に、見覚えがあった。
どこか泣きそうな、辛そうな表情。
――あの表情は、以前セリオスが見せた顔――

それが、ルキアに告白しているという誤解からくるものなら。
前回のあの表情の理由が…ルキア達の言うとおりなら。



――その2つが、意味することは――



「っ………!!!」



そこまで考えた時には、思わず教室を飛び出していた。
 

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2008/11/23 00:26 | Comments(0) | QMA(レオン×セリオス)

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