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2024/07/07 22:25 |
elegy(LD/ジュリオ×ジャン)
 初、ラッキードッグ1小説。

そして初っ端からジュリオBAD END後。
ありがちだけども、1度は書いておきたい話。
不完全燃焼気味なので、そのうち余裕があれば手直ししたい。

普通にネタバレですので要注意。


【音楽用語のお題】より『01.elegy』意味は、「悲しみの詩」


こんなに泣けたBAD ENDは初めてです。
そして、こんなに攻めキャラを好きになったのも初めてです。

ジュリオ大好きだ!!!

++++++++++


失って気付いた

 

 

アイツの存在の大きさ

 

 

アイツが俺にとってどれほど大切だったのか――――

 

 

 

 

01.elegy

 

 

 

 

 

ジュリオが俺を庇って・・・死んでから。

 

俺の世界は時間を止めた。

 

 

 

 

 

 

「ジュリオ・・・・」

 

今はもういない、男の名前。

 

何度呼んだって、返事は返ってこない。

 

響くのは、雨の音だけ。

 

 

 

分かってる・・・分かってる・・・!!!

 

それでも、呼ばずにはいられない。

 

呼ぶ度に、胸が抉られるように痛い。

 

だけど、俺は―――――

 

 

 

 

 

 

 

「・・・・さん・・・ジャン、さん」

聞き覚えのある柔らかな声に、俺は目を開けた。

「っ・・・・ジュリオ・・・?」

目の前には、少し申し訳なさそうな顔をしているジュリオ。

「どうして・・・・」

 

これは・・・・夢・・・?

 

「ジャン、さん・・・あの・・起こしてしまって、ごめん、なさい・・・」

俺が険しい表情をしていたからか、ジュリオは小さな声で謝ってくる。

「・・・・・・」

それでも、俺はまだどこか頭がぼうっとしていた。

 

ジュリオが・・・生きている?

これは、一体・・・どういうことなんだ・・・

 

「あ、の・・・ジャンさん、魘されていた、から・・・起こした方が、いいかと・・

 だけど・・迷惑、でしたか・・・?」

シュンと項垂れるジュリオを見て、俺は慌てて言葉を探した。

「あ、あぁ・・・いや、迷惑じゃねぇよ」

「本当、ですか?」

「あぁ・・・ただ、ちょっとまだ混乱してるって言うか・・・」

 

ジュリオが、あまりにも自然にここに存在(い)るから。

 

「何か、嫌な夢・・・見たんですか?」

「嫌な、夢・・・?」

 

アレが・・・夢?

 

 

あの日

 

あのイカレたヤンキーと戦って

 

あの爆発と 炎の熱さと

 

ジュリオの――血が――

 

 

「ジャン、さん・・・?」

「夢・・・?夢なのか・・・・?」

俺は、もう一度目の前にいるジュリオを見た。

 

髪の色も、瞳の光も、全部本物のジュリオだ。

こんなに近くに・・・もう、二度と会えないと思っていたのに。

もう二度と、声を聞くこともないと・・・・触れることも出来ないと、思っていたのに。

「ジュリオ・・・・」

 

俺は、吸い寄せられるようにジュリオの頬に手を―――

 

「ジャン・・・さん・・」

「っ・・・・・!」

 

もう少しでジュリオの頬に触れるというところで、俺は手を引っ込めた。

ジュリオの表情が不安に曇る。

 

「あの、俺・・・何か、しましたか?」

「いや・・・違う・・・ジュリオは、悪くねぇよ」

 

そうだ、ジュリオは悪くない。

けど・・・やっぱりこれは・・・・

 

「夢、なんだよな・・・」

「ジャン・・・?」

 

目の前にいるジュリオの、不安に揺れる表情。

こんなところまでも、ジュリオそのものなのに・・・

それでも、これは夢なんだって、分かってしまう。

 

きっと、触れても体温は・・・感じない。

触れれば、その瞬間にこの夢は終わる。

 

ジュリオはもう―――いない。

 

「・・・ジュリオ」

「はい、ジャンさん」

俺の呼びかけに、素直に返すジュリオ。

本当に、これが現実なら良かったのに。

 

 

神様ってヤツはどこまで残酷なんだ。

叶わないことだって、分かってるのに

 

こんな夢、見せやがって――――

 

 

 

 

けど

 

 

 

 

こんな夢、もう見れないかもしれないから。

 

夢だって構わない。

 

俺はジュリオに、どうしても・・・言っておきたいことがあった。

 

「ジュリオ・・・好きだぜ」

 

ずっと伝えられなかった言葉

 

「ジャン、さん・・・」

 

お前がいなくなってから、やっと気付いた心

 

「好きだ・・・・ずっと・・・」

 

今だって、ずっと。

 

「ジャンさん・・・ジャン・・・俺・・・すごく、嬉しい・・です」

 

ジュリオの手が、俺に伸びて。

俺は、ゆっくりと目を閉じた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「・・・・・っ・・・」

 

目が覚めると、やっぱり俺はひとりきりだった。

「ジュリオ・・・・」

名前を呼ぶと、ジュリオの顔が・・声が、体温が・・次々と蘇ってくる。

夢の中で「好きだ」と告げた時の、表情が頭から離れない。

 

もし俺が、伝えてやっていたら

 

ジュリオは・・本当に、あんな顔で笑ったんだろうか。

 

「・・・ジュリオ・・・っ・・・」

 

 

 

 

俺は

 

 

 

俺は今でも―――

 

 

 

 

呟いた言葉は、冷たい雨の音に掻き消される。 

 

 

俺は、時間が止まった世界で、その音をいつまでも聞いていた。
 

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2009/07/19 23:22 | Comments(0) | ラッキードッグ1(ジュリオ中心)

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