だいぶ前になんとなく書いたやつ。
会話のみ。
会話のみ。
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「榎さん……これは何のつもりですか?」
「何だ、知らないのか?膝枕だ、膝枕」
「そんなことは分かってますよ。どうして僕が、
榎さんに膝枕しなきゃならないんですか…」
「なんだ、僕に膝枕するのが厭か?」
「厭…じゃあないですけど」
「じゃあいいじゃないか」
「そうじゃなくてさ…男の膝枕なんか楽しくないでしょうに。
まして僕みたいな男の、なんて」
「そんなことはないぞ。ここはとても見眺めがいい」
「眺め?」
「お前の顔が見えるぞ」
「それはそうでしょう」
「だからいい眺めなんだ」
「落ち着かないだろう」
「そうでもない」
「あんたじゃなくて、僕が落ち着かない」
「なんで?」
「なんでって…」
「そうか、解ったゾ。照れているんだな!」
「榎さん、あんたね…」
「ふふん、隠しても無駄だぞっ!」
「僕は照れてるわけでも、隠してるわけでもないよ」
「嘘だな。だってお前、顔が赤いっ!真っ赤だ、林檎だっ!」
「暑いからでしょう」
「それこそ嘘だろう。お前、いっつもあんなに暑苦しい服を着ているくせに」
「………」
「黙ったってことは、図星だなっ」
「………僕は、本が読みたいだけです。
榎さんがそこにいたんじゃ、本が読みにくいでしょう」
「ふん、お前は嘘を吐くのが下手なくせに、よく嘘を吐くな」
「だから嘘じゃ……」
「秋彦」
「…………あんたは、狡い人だな」
―――そんな顔で、そんな風に名前を呼ばれたら―――
「何も言い返す気になれないじゃないか」
「榎さん……これは何のつもりですか?」
「何だ、知らないのか?膝枕だ、膝枕」
「そんなことは分かってますよ。どうして僕が、
榎さんに膝枕しなきゃならないんですか…」
「なんだ、僕に膝枕するのが厭か?」
「厭…じゃあないですけど」
「じゃあいいじゃないか」
「そうじゃなくてさ…男の膝枕なんか楽しくないでしょうに。
まして僕みたいな男の、なんて」
「そんなことはないぞ。ここはとても見眺めがいい」
「眺め?」
「お前の顔が見えるぞ」
「それはそうでしょう」
「だからいい眺めなんだ」
「落ち着かないだろう」
「そうでもない」
「あんたじゃなくて、僕が落ち着かない」
「なんで?」
「なんでって…」
「そうか、解ったゾ。照れているんだな!」
「榎さん、あんたね…」
「ふふん、隠しても無駄だぞっ!」
「僕は照れてるわけでも、隠してるわけでもないよ」
「嘘だな。だってお前、顔が赤いっ!真っ赤だ、林檎だっ!」
「暑いからでしょう」
「それこそ嘘だろう。お前、いっつもあんなに暑苦しい服を着ているくせに」
「………」
「黙ったってことは、図星だなっ」
「………僕は、本が読みたいだけです。
榎さんがそこにいたんじゃ、本が読みにくいでしょう」
「ふん、お前は嘘を吐くのが下手なくせに、よく嘘を吐くな」
「だから嘘じゃ……」
「秋彦」
「…………あんたは、狡い人だな」
―――そんな顔で、そんな風に名前を呼ばれたら―――
「何も言い返す気になれないじゃないか」
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