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2024/07/07 22:19 |
始まりの合図のキス(神無ノ鳥/イカル×レンジャク)


【キスの詰め合わせ】より『01. 始まりの合図のキス』


神無ノ鳥 イカル×レンジャクルート ED後の妄想

なんでレンジャクルートだけHAPPY ENDが記憶喪失なんだ
++++++++++


01. 始まりの合図のキス




イカルが記憶を失ってから、もう何年になるのだろう・・・?
あの屈託のない笑顔を見なくなってから・・・・どれくらい・・・・

そんなことを考えていたら、いつの間にかイカルの部屋の前へ来てしまっていた

もしかしたら、記憶が戻ってるんじゃないか・・・
そんな期待を、いつまで経ってもオレは捨てられずにいる。

「・・レンジャク?どうかしたのか?」

しかし、出てきたイカルは“いつも通り”だ。
昔のイカルとは違い、落ち着いていて・・・・
「いや・・・何でもない・・」

『神無ノ鳥』としての任務を全うする為・・・・
オレの傍にいるという・・・オレとの、約束の為に・・イカルは記憶を捨てた。

それでも

それでも、イカルがオレの傍に存在してくれているだけで、オレは・・・
「・・・レンジャク?」
しばらく沈黙が続いたかと思うと、イカルが突然困惑したような声をだした。
「何だ」と言おうとした時、オレの頬にイカルの手が当てられた。

「何故、泣くんだ?」
言われて初めて、オレは涙を流していることに気がついた。
「すまない・・・」
「我々、神無ノ鳥でも、涙が流れるのだな…」

“それ”をオレに教えたのは、他でもない…お前なのに

「お前が泣くのは・・・オレの記憶が、戻らないからか?」
「わからない・・・」

今のイカルは、人の魂に触れることを恐れることはない。他の鳥達と同じ存在。
以前イカルが持っていた、人間に極近い感情は、僅かしか残っていない。

オレは・・・変わってしまったというのに。

イカルと共に過ごして

イカルが消えてしまうと知って

イカルを愛していると、知って

けれど、イカルはオレと心を通じ合わせたという記憶も無くしている。
そのことが、ふとした瞬間にオレの胸を締め付ける。
記憶が無くても、イカルはイカルだ・・・
傍にいられるだけでも、十分だと・・・思っていたのに。

もう一度、イカルの腕に抱かれたいと・・・望んでしまう・・・・

「突然来て、すまなかった。オレはもう、部屋へ戻る」
「レンジャク・・・・」

結局一度もイカルの瞳が見れないまま、オレは部屋を後にした。







それから数日後・・・





「レンジャク!レンジャク、いるか!?」
部屋の扉を開けると、息を切らしたハッカンが立っていた。
「何だ?朝から・・・」
「イカルの記憶が、戻ったかもしれない」
「な、に・・・・・?」
ハッカンの言葉に、オレは一瞬息が詰まりそうになる。

イカルの記憶が、戻った・・・?

「アイツ、今日なんか任務の後ぼーっとしてて・・・
どうやら、綿貫琉宇の家に行ったみたいだ」
「綿貫・・琉宇・・・・・」

イカルが魂の回収を命じられた相手。
そして、最も親しくしていた人間。
オレも、何度かイカルと共に家を訪れたことがあった。
そして・・・オレが、初めて“涙”を流した場所―――

あの場所は、イカルにとって特別な場所だ。

その場所に・・・今、イカルが・・・・?


「それは、本当なのか・・・?」
「あぁ」
「・・・・・・」
「行ってみろよ」
「しかし・・・・・」

今行ったとしても、イカルの記憶が戻っているという保証はない・・

「俺には分かる。あいつの記憶は、戻ってる」
「何故、そんなことが・・・」
「いいから。俺を信じろって」
「しかし・・・」
「ったく、いいから早く行ってこいって!!」

強引に部屋から引っ張り出され、オレは仕方なく綿貫琉宇が住んでいた家へと向かった。









家の近くまで来たところで、オレは地上に降りた。

「・・・・・」

玄関の前に、イカルは立っていた。

後ろ姿からは、表情は分からない。

声を、かけなければ確かめられない。
しかし・・オレは、躊躇してしまう。




記憶が戻っているかもしれないという、僅かな期待。

それがあるからこそ、まだ記憶が戻っていなかった時が辛い。


「・・いつの間に、オレにもこのような感情があるようになったんだろうな・・」


そう呟いた時、イカルが振り返った。


「ッ・・・・」


思わず、身体が緊張してしまう。

イカルの顔を見ることが出来ない。


「レンジャク」


視線を逸らしたままでいると、すぐ傍でイカルの声がした。

「ッ!?」

顔を向けようとした瞬間に、身体を強く抱きしめられる。

「イカル・・・?」
呼びかけると、オレを抱きしめた腕の力が強くなる。
「レンジャク・・ただいま」
「・・・・!?」


―――今、何を言った・・・?―――


「イカル、お前・・・」
「思い出したんだ、全部。常闇の間で記憶を消される前のこと・・・
琉宇やおっちゃんのこと・・」
そこまで言って、イカルはオレの身体を少し離す。
「レンジャクが、好きだってことも」
「イカル・・・・」
オレが名前を呼ぶと、もう一度抱きしめられた。
「好きだよ、レンジャク」
「あぁ・・」
オレも、イカルの背中に腕をまわした。

しばらくそうしていると、イカルがオレの耳元で囁く。
「・・俺さ、これからはちゃんと、ずっとレンジャクの傍にいる。
魂も、ちゃんと回収するよ。俺は、もうレンジャクを泣かせない」
「しかし・・・・」
「大丈夫。記憶が無い間のことも、俺は覚えてる・・
 魂を回収するあの感覚も、もう慣れたよ。
 俺は、神無ノ鳥としてレンジャクの隣で生きていたい」

オレは言葉が見つからずに、身体を離してイカルを見つめた。

「・・なぁ、レンジャク・・・キス、していいか?」
オレは、黙って頷いた。

瞳を閉じると、ゆっくりと唇が重なった。


――このキスが、オレ達の新しい始まりの合図――


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2009/07/12 20:45 | Comments(0) | その他(ジャンル色々)

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