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2024/07/05 05:25 |
Love Love Love(TOV/FY)
1日遅れのハッピーバレンタイン。





やっと、聞けた!



「お前があんまり良い男だから、見惚れちまってよ」





やっぱりフレユリ最高です。





※※※※











「ユーリ、ちょっと手を出して」
「?」


言われるままに手を出すと、小さな箱を乗せられた。



「何だよ?これ…」
「チョコレートだよ。ユーリ、好きだろう?」


開けてみれば、確かにチョコレートだ。
小粒だが、どれもとても丁寧に作られている。
帝都の貴族が食べていてもおかしくないようなデザインだ。


「これ…お前が作ったのか?」
「もちろんだよ」


爽やかな笑顔を向けられて、ユーリは自分の手のチョコレートを見た。


フレンの作るものは、どれも見た目は完璧だ。
ただ、味についてはかなり問題がある。
美味しい時には、きっと旅のメンバーの中で1番と言っていいほど美味しい。
逆に、マズイ時にはとことんマズイのだ。


それは、お菓子にも言えたことで。


食べてみないことには、味は分からない。
パティのギャンブルよりも、よっぽどリスキーだ。



それでも



「さんきゅ、フレン」



笑顔で受け取ってしまうのは、自分がこの男に心底惚れているからだろうか。
それとも、フレンの爽やかな笑顔を見れば、誰でも受け取ってしまうものなのだろうか。



前者だとしたら、どうしようもない馬鹿だな…と、ユーリは小さく笑う。



それにしても



「急にどうしたんだよ、チョコレートなんて。
 他のヤツらにはやらないのか?カロルやリタが喜びそうだぞ」
「皆にも、また作るよ。けど今日は、ユーリだけに渡したかったんだ」
「?」

どういう意味だと首を傾げたが、ふとエステルが前に話していたことを思い出した。




『昔、東の果ての国では、愛する人に甘いチョコレートを渡して、

 愛を告白する日があったんだそうです。なんだか、ロマンチックですよね』





あの話をしていた時、確かフレンもいたはずだ。


じゃあ


「もしかして……エステルが話してたヤツか?」
「あぁ。バレンタイン、と言うそうだよ」
「ふぅん……」


そんな意味があるチョコレートなら、尚更受け取らないわけにはいかない。
と言うよりも、むしろ嬉しい。


フレンにとっての『愛する人』が、自分だということなのだから。

(何度も愛の言葉を交わして、確かめ合っているけれど)




「ねぇユーリ、今食べてみてくれないか?」
「今、か?」
「駄目かい?」



駄目、というよりも。
1人の時なら、まずければ顔をしかめるなり、なんなり素直な反応ができる。
(それでも、決して残したり捨てたりはしない)


だが、フレンの前ではできない。正直、身体に悪い。



「今回は自信作なんだ」なんて、笑顔で言われたら食べるしかない。


ユーリは、チョコレートを口の中へほうり込んだ。


「お……」


口の中に広がったのは、チョコレートらしい甘さ。
どうやら、今回は本当に「自信作」のようだ。



「どうだい?」
「ん、すげー美味い」
「本当かい?」
「あぁ、マジで美味いぜ」

今回に限っては、事実なので素直に感想を言った。

「そうか、良かった」
ユーリの感想を聞いて、フレンも嬉しそうに笑う。

(その笑顔が好きで、例え破壊的にマズイ料理でも
 「美味い」と言ってしまうのだが)



「ユーリ、僕も君から貰いたいな」
「悪ぃけど、今オレ何も持ってないぜ?」


そう言いながら、何気なくもうひとつチョコレートを口に入れる。


やっぱり美味い。


そんなユーリを見て、フレンはくすりと微笑った。
「うん、知ってるよ。だから……」
「うわっ!?」
急に腰を引き寄せられる。


「ユーリのキスでいいよ」


「なっ……」
間近で、真顔で、そんなことを言うのはこの男くらいだろう。
からかっているのか、それとも天然で言っているのか。
長い間一緒にいても、こればかりはよく分からない。


「お前な……」
「駄目かい?」
駄目なことは、ない。ユーリも、フレンとのキスは好きだ。
だけど、完全にフレンのペースになっているのが悔しい。
「…………キス『で』いい…って、何だよ」
ユーリのささやかな反撃にフレンは一瞬考えたが、
すぐにユーリが求めている答えが分かった。
空色の瞳でユーリを愛おしそうに見つめる。


「ごめんユーリ、違ったね。ユーリのキス『が』いいんだ」
「………」


言わせたのは自分なのだが、そんな柔らかな目で言われると、どうもくすぐったい。


「ユーリ」
「…分かったよ」
フレンに促されて、ユーリはゆっくりフレンにキスをした。
唇が触れ合うだけの、軽いキス。


「ありがとう、ユーリ。でも、まだ足りないよ」
「は?………っん」
頬を包み込まれて、今度はフレンからのキス。


「んっ……んぅ……」


さっきとは違い、濃厚なキス。
「っ……」
フレンの舌が、ユーリの舌を絡めとる。
そのまま甘噛みされ、身体がぞくりと震えた。


「は、ぁ………」
「やっぱり甘いね」
唇を離して、フレンは笑う。
「当たり前だろ、チョコレート食ったんだからな」
「ユーリはいつでも甘いよ」


あぁもう、この男は本当に


「恥ずかしいヤツだな…」
「そうかい?」
「あぁ、よくそんなコト言えるなお前…」
「仕方がないよ。ユーリが好きで好きで、どうしようもないんだから」
「っ………」
抱きしめられて、耳元でそんなことを囁かれて


どうしようもなく幸せだと感じる自分も、よっぽどだ。


「愛してるよ、ユーリ」


愛の言葉を紡ぐ唇に、ユーリはもう一度キスをして
「オレもだぜ、フレン」



いつものように、笑顔を向けた。
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2010/02/15 10:38 | Comments(0) | テイルズ(V:フレユリ/S:ロイゼロ中心)

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