03 声が震えてた
「俺さま、最初はロイド君を本気で裏切るつもりだった」
ベッドの中で、ゼロスは俺に背を向けて呟いた。
「初めて会った時から、裏切ろうと思ってた」
頼りない、小さな声。
「俺さま、サイテーっしょ?」
「ゼロス」
それ以上、自分を傷つけるようなことは言って欲しくなくて。
後ろから強く抱きしめると、ゼロスは身体を強張らせた。
「お前は裏切らなかっただろ」
「だけど」
「俺は、ゼロスを信じてたし…今も、これからも、ずっとずっと信じてる」
そう言うと、ゼロスの身体から力が抜けた。
「サンキュー…ロイド」
抱きしめた身体と、俺に届いた声は
微かに震えていた。
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